Japan Experimental Animal Food Association
日本実験動物飼料協会
Q&A よくあるご質問
Q1.日本実験動物飼料協会はどのような団体ですか?
当協会は実験動物に使用される飼料の質的向上をはかり、実験動物用飼料に関する研究、業界の発展に寄与することを目的として、製造業者および販売業者をもって組織している団体です。会員はオリエンタル酵母工業㈱、日生研㈱、日本クレア㈱、日本農産工業㈱、フィード・ワン㈱、㈱フナバシファーム(50音順)の6社から成り立っております。
協会の活動は、実験動物用飼料の品質向上のため、GLP等に関連する技術情報の整理と対応の検討を行う他、原料情報の整理についても積極的に実施しています。その他、関連学会ならびに業界団体との連携の強化をはかり、また広報・啓蒙・宣伝活動を行っています。
Q2.実験動物用飼料は畜産用飼料とどう違うのでしょうか?
牛、豚、鶏などのいわゆる畜産用飼料と、マウス、ラット、イヌ、サルなどの実験動物用飼料との大きな違いは
前者は経済的な理由から原料調達先、配合内容が変化するのに対し、後者は実験精度に影響することを避ける目的から
原料調達先や配合内容は一定であることが求められます。
製造工程のイメージは「飼料ができるまで」のページをご参照ください。
Q3.ガンマ線照射の線量はどの程度が適切なのでしょうか?
各実験動物施設で決められている基準にもよりますので各施設の窓口へ相談してください。
通常は10kGy、30kGyで照射したものが多く利用されているようです。
無菌動物や免疫不全動物の飼育では50kGyで照射したものがよく利用されています。
Q4.稀に飼料に変色や黒いものがあることがありますが異常でしょうか?
定期的に洗浄をしておりますが、稀に製造ライン上に残った半製品が加熱され焦げとなって混じることがあります。
品質上、そのままご使用いただいて問題ございません。
Q5.一般飼料と精製飼料の違いを教えてください。
一般飼料は、とうもろこし、小麦粉、大豆または大豆油かすなど比較的天然に近い原料で配合したものになります。
価格が安い反面、天然原料に近いことから収穫時期・産地の違いによる品質差などにより、どうしても成分値に変動が起こりる、というデメリットがあります。一方で、精製飼料は天然原料から精製をした原料を使用しているため、設計次第で栄養成分を一定に揃えることができますが、価格がどうしても高くなるという面もあります。
Q6.飼料の適切な保存方法を教えてください。
直接日光の当たらない湿気の少ない冷暗所で保管してください。
未滅菌品の場合、条件の悪い場所で保管されますと虫の発生する可能性があります。
Q7.形状(種類)の違う飼料が混じっていました。
共通した原料を使用しており、製品によっては同一ラインで製造しております。
設備の構造上水洗いが出来ないため、稀に混じることもありますので、その場合は除いてご使用ください。
Q8.製品LOTの違いで成分分析値が違うのはなぜですか?
同一の配合組成でも、使用する原料の成分値の差などにより多少の振れ幅が生じます。
また、滅菌方法などによっても成分値は変動いたします。
Q9.日本実験動物飼料協会のコンタミナント基準の設定背景および設定根拠は何ですか?
GLP施行当時、その解説書に飼料中のコンタミナントの確認を求める記述があったことから、日本実験動物飼料協会として1983年に「GLP対応に関する実験動物飼料協会案」にて実験動物用飼料に関するコンタミナント項目基準を提示させていただいております。当試案は、EPA案及び当時の海外飼料メーカーの基準(ピュリナ、ウエイン、アグウエイ)の数値及び、1980年から3年間の当団体加盟各社の飼料分析データを基に設定させていただきました。
Q10.飼料の使用推奨期間目安の設定背景および設定根拠は何ですか?
長年製造後6か月を目安にご案内しておりましたが、東日本震災をきっかけに災害時のBCP対策を検討した結果、
期限を延長することを提唱することと致しました。
なおエビデンスとして、2017年から2018年にかけて加盟各社の主要製品を用いて保存試験を実施致しました。
詳細は公益社団法人日本実験動物協会HPならびに業界情報誌-LABIO21に掲載されておりますのでご確認下さい。
Q11.実験動物用飼料は動物の栄養要求をどのような基準で満たしていますか?
基本的にNRC(National Research Council=米国科学アカデミーの米国学術研究会議)の要求量を基準に設計されております。
◆ マウス基準値
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK231918/
◆ ラット基準値
Q12.実験動物や実験動物用飼料の定義とは何ですか?
◆ 動物実験の社会的貢献 ◆
新しい薬を開発するときには、病気の治療効果や患者さんに対する安全性を確認するために、前もって動物実験で調べることが
法律で義務付けられています。特に安全性試験は重要で、国際的にハーモナイズされた方法でヒトへの副作用を調べ、薬害の発生を未然に防いでいます。
患者さんと同じ原因で実験動物が病気にかかることがあります。実験動物でよく調べれば、患者さんはなぜ病気になったのか明らかにすることができるうえに、病気の実験動物を用いて治療方法を開発することもできます。動物実験の成果はペットの病気の治療にも役立っています。
◆動物実験は必要不可欠◆
生命活動を科学的に理解することは、人間や動物の健康・福祉と安全、環境の保全と再生など多くの課題の解決にきわめて重要であり、動物実験はそのために不可欠な手段です。生きたまるごとの実験動物をコンピュータ・シュミレーションや培養細胞に置き換える研究が、国内外で盛んに行われています。しかし残念ながら、生きた動物を用いずに体内の複雑な生理機能を解析することは、現時点ではできません。
動物実験の結果はヒトにも当てはまるのでしょうか。ダーウィンは進化論の中で、ヒトと動物の間には生物学的連続性があることを明らかにしましたし、ゲノム解析では、病気と関係のある遺伝子はマウスとヒトの間で90%同じであることが示されました。
インフル工ンザウイルスや結核菌などは、ヒトと動物の両方に感染することがあります。
※動物実験関係者連絡協議会(動連協)から抜粋しました(http://www.renkyo.or.jp/roll_necessity.htm)。
Q13.マウスでもいくつか種類がありますがどんな点を基準に飼料を選べばよいでしょうか?
当団体に加盟している各社の実験動物用飼料においては、基本設計は動物種毎の要求量を満たすよう設計されております。
試験の目的によって、形状や精製原料を用いたもの、天然原料を用いた一般飼料の中から最適なものを選抜して頂ければと思います。ご不明な点は加盟各社の担当に相談頂ければ、アドバイスが出来ると思います。
また、疾患モデル動物用の飼料もございますので、試験やバックグラウンドデータなどの状況に応じてご使用ください。